笠地蔵

2008年12月27日 18:22

~ むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。
ふたりは貧しくて、年の瀬だというのにお餅を買うお金すらありませんでした。
このままでは年を越せないと思った二人は、おばあさんが残り少ない「わら」で5枚笠を編み、大晦日の日おじいさんが雪の降る中町へ売りに行くことにしました。
笠を売ろうと頑張ったおじいさんですが、笠は一つも売れません。そのうち日が落ちて吹雪となり、おじいさんは諦めて帰路につきます。
吹雪の中を家に急ぐおじいさんは6体のお地蔵様が頭に雪をかぶっているのを見つけました。
可哀想に思ったおじいさんは、持っていた笠をお地蔵様にかぶせてあげました。一つ足りない分は自分がかぶっていた手拭いをかぶせてあげました。 ~

 

この「かさ地蔵」のお話には、雪がかかせません。
雪が先か地方が先かは定かではありませんが、このお話は山形や秋田などの雪国に多く伝わるお話のようです。
手ぬぐいの他にも、地方によってはおじいさんが笠と蓑をかぶっていてその自分の古い笠をかぶせてあげた説や、おじいさんの褌(ふんどし)をかぶせてあげたという説もあります。

 

 

~ 家に着いておじいさんが笠をお地蔵様にかぶせてあげてきてしまったことをおばあさんに話すと、おばあさんは「それは良いことをしました、お地蔵様も喜んでくださったでしょう。」といっておじいさんと一緒に喜びました。
そして、食べるものも無い二人は薄い布団に包まって早く寝てしまいました。
夜中、ドスンドスンと言う音が聞こえてきます。二人はそっと戸をあけて覗いてみると、笠をかぶったお地蔵様が「親切なおじいさんの家はここじゃここじゃ」と歌いながら重そうな荷物を家の前に積み重ねていきました。
表に出てみると、積み上げられていたのはたくさんの食べ物や小判でした。
手拭いをかぶったお地蔵様が置いていった小さな包みの中には手拭いがたたんでありました。
ほっかむりの無くなったおじいさんが気の毒だと思って新しい手拭いもきちんと返してくださったのでしょうね。 ~

 

 

皆さんは、気付きましたか? 実は、このおはなしは悪者が出てきません。
良いことをすると良いことが返ってくるという教訓がやさしいお話に込められているのです。
悪者が出てこないお話といえば、「となりのトトロ」も悪者が出てきません。その為、子供に安心して見せられるということで親にも人気だったので大ブームとなったのです。
このようなほのぼのとしたお話は、人に親切にするという心が薄れてきている今の世の中にこそ大切なのではないでしょうか。

 

さぁ、目の前に雪をかぶったお地蔵様が。あなたはどうしますか・・・?