わらしべ長者

2009年1月27日 18:18

昔話の「わらしべ長者」のわらしべとはわら(藁)のことです。
ある一人の貧乏な若者が最初に持っていた何の役に立たないようなわらを色々なものに交換をしていくうちに、最後には大金持ちになったというお話です。

 

お話の中には、たとえ、わら一本のような一見価値がないと思われるものでも粗末にしてはいけないという教訓が含まれています。

 

むかしむかしある所に、正直者ですが、朝から晩まで働いても貧乏な、運の悪い若者がいました。
ある日のこと、なんとか金持ちになれるようにと、一心不乱に観音(かんのん)さまにお祈りした若者の前に観音さまが現われ、こう言いました。
「あなたは、このお寺を出る時、転んで何かをつかむでしょう。それを大事に持って西に行きなさい。」
観音様の言葉に喜んだ若者は、お寺を出たとたん、お告げ通りに石につまずいて転びました。その拍子に、一本のわらしべ(イネの穂の芯)をつかみます。そのわらしべを見て若者は、
「観音様がおっしゃったのはこれのことかなあ? これで本当に金持ちになれるのかなぁ?」
と思いましたが、観音様の言葉を信じ、わらしべを持って西に向かって歩き出しました。
すると、プーンと一匹のアブが飛んできました。若者はそのアブをつかまえると、持っていたわらしべの先に縛りつけ、また歩いて行きました。
ほどなく町にやってくると、泣きつづけていた赤ん坊が、わらしべの先のあぶを見て泣き止みました。うれしそうな赤ん坊を見て、若者は、わらしべを赤ん坊にあげました。
赤ん坊のお母さんはお礼にと、若者にミカンを三つ差し出しました。
若者はさらに西に歩いて行きました。
しばらく行くと、娘が道端で苦しんでいました。のどが渇いて苦しむ娘に若者はミカンをあげました。
元気になった娘は、お礼にきれいな絹の布を差し出しました。

 

 

絹の布を持って、若者はさらに西に歩いて行きました。
しばらく行くと、馬が倒れて困っている男の人がいました。
「どうしました?」
「馬が病気で倒れてしまったのです。町でこの馬を布と取り替えるつもりだったのに。今日中に布を手に入れないと、困るのです」
「では、この布と馬を交換してあげましょうか?」
男の人は大喜びで布を持って帰りました。
若者が夜通し馬の体をさすってやると、馬は朝には元気になりました。
馬を連れて、若者はさらに西に歩いて行きました。
城下町にやってくると、町一番の長者が、若者が連れていた馬を見てたいそう気に入り、若者を家に招きました。
長者の娘が、若者にお茶を持ってきましたが、その娘は、何と若者がミカンをあげた娘でした。
長者は、不思議な縁と若者のやさしさに心打たれ、娘を若者に嫁がせることにしました。
若者は、観音さまに言われたとおり、わら一本で長者になりました。若者は、生涯、わら一本粗末にすることはありませんでした。村人からは、「わらしべ長者」と呼ばれました。めでたし、めでたし。
笠地蔵