袖振り合うも他生の縁

2010年2月27日 17:59

「道で見知らぬ人と袖が触れ合うのも、深い宿縁に基づくものだ」…という意味の言葉です。「多少」と間違える人が多いのですが、この場合は【前世】を意味する「他生」が正しいです。
ちょっとした小さな出会いが、かけがえのない人になるかも知れません・・・ とはいえ、「どうして道で袖が触れ合うの?」と思う人はいませんか?
この場合の「袖」はTシャツやカットソーの袖ではなくて、きものの袖を指しています。洋服とは違って長さがありますから、きものを着ていれば袖が触れ合うこともあるかも知れませんね。

 

このように、きものにまつわる言葉は意外に沢山あるのです。いくつか挙げてみましょう。

 

「袖を通す」・・・ 新しい衣服を着る
「袖の下」・・・・ 賄賂
「袖にする」・・・ おろそかにする。冷淡にする
「袂(たもと)を連ねる」・・・ 行動を共にする
「袂を分かつ」・・・ 行動を別にする
「衿(えり)を正す」・・・ 心を引き締めまじめな態度になること
「辻褄(つじつま)が合わない」・・・ 道理が合わない
「紺屋の白袴」・・・ 他人の事に忙しくて自分自身のことには手が回らないこと

 

袂(たもと)とはきものの袖の袖口から下の部分。
辻褄(つじつま)とは裁縫用語からきたもので、きものの縦横の縫い目が合うべき部分のことです。その部分が合っていないちぐはぐな様子から派生しています。

 

 

人と切っても切り離せない衣服からの言葉は、ストレートな表現を避ける日本人ならではの美意識ですね。
しかし、最近はきものを着ている人が少なくなったせいか、こういった言葉を使う方達も減っているかも知れませんね…。
きものも言葉も大切な日本の文化です。今回は言葉の「お裾分け(*)」をさせていただきました!

 

*「裾(すそ)」・・・ もちろんきものの裾を指してます。